戻ってみると、入り口には先に真白くんがついていた。
「あぁ、おかえり千哉、紬。
……アイツきてるから、一応ここで待っといた」
……アイツ?
そのアイツというキーワードはもちろん私にはわからないけれど、千哉はわかったようで、私に一度視線をやったあと、顔を思いっきり歪めた。
……なんで私?
「アイツ……、今日こねぇっつってなかった?」
「僕知らない。
アイツ要領いいから、用事あったとしてもさっさと終わらせてきたんじゃない?」
「マジかよ……」
よくわからないけれど、アイツと呼ばれる人がきていて、千哉にとっては都合が良くないってこと?
「……まぁ大丈夫じゃない?
千哉が言えば変な手出しはしないんじゃないかな。」
「……そうか?」
変な手出し……?
「僕はアイツにはなにもできないから。
僕より、立場は上なんだから一応」
「わっ!!」
真白くんはそう言って、千哉の背中をトンッと押して、その背中を目掛けて私を突き飛ばした。
「紬、千哉の傍から、離れちゃダメだよ」
離れちゃダメって……、
全身にブルッと悪寒が走って、顔をしかめた。
千哉はそんな私に振り返ると、私の肩を掴んだ。
「紬、あのな、アイツってのは……」
「……おかえり千哉、なんでなかなか入ってこないのかな?」
千哉がなにかを言いかけたとき、千哉の背中からそんな声が聞こえて、千哉は慌てて私を隠した。、
いや、これは隠したっていうより……
抱き締められてる?



