僕は、結果的に彼女を。
沙夜さんを忘れてしまったんだ。

「皐君。」

「あ…………………」

紗耶香。
後ろには、紗耶香が突っ立っていた。

「皐君、どうして泣いているの?なにか、あったの?」

「沙夜さん?」

バッと腕をつかんだ。

「違うわ!私は、『紗耶香』。『沙夜』は、私のお姉ちゃんよ。一体どうしたの?」

「あ。」 

そうだ。
この人は、沙夜さんじゃない。
紗耶香だ。