『ねぇ、あなた、誰?』

桜の花弁が舞う世界の中。
誰かが僕を呼んでいる。

『あなた、何処かで…………』 

僕も、見たことある。
桜の花弁で見え隠れしているけれど、その面影は………

『沙夜さん?』

『皐君?』

『あ。』

目があった。
ピタリと止まる。

なびく髪。
大きく見開いた瞳。
まさしく、沙夜さんだった。