沙夜さんが亡くなって、少し経った。

「退院できて良かったわね。皐。」

「お兄ちゃん、泣いていたよ?」

奈月は僕を見上げてハンカチを渡した。

「僕が、泣いてた?」

『うん、泣いてた。私見て。』

だ、誰?
誰だよぅ?

『私よ。忘れちゃったの?』

「誰?」

『私。汐佐波佐波。』

「ゔわぁっ!」