「あんたなんか、パパに言って親潰してやるからね!」

…あほだ。

大学生にもなって、親だしてきた。

ビックリなんだけど。

「脅し?」

『あっ、桐。』

私の後ろから桐の声がして、いつのまにか隣りにいた。

「皇くんまでこの女に騙されて!」

「騙す…?」

「そうよ!こんな女!」

ヒステリックに叫ぶ彼女は、注目の的になってることに気がついてない。

「オレの名前をお前が呼ぶな。」

絶句する彼女。

桐は凍えるような冷たい視線を向けたまま。

「目には目を。潰せるもんなら潰してみろ。お前が大学生にもなって、親を出してきたんだからな。こっちも出しても問題ねぇよな。」

桐、怒る。

私のことをバカにしたりすると、本来の性格である冷酷な部分が出てきちゃう。

私も逆なら倍返しするけどね。

目の前の彼女はケータイを取り出すと、電話をかけだす。

親なんだろうけど、バカだなぁ。

こんなことして潰されるのは、誰かも知らないで。