次の日。
昨日のことがあってから変に亮太センパイを意識しるようになった。
音楽室に向かうため、廊下を歩いていると私の姿を向かい側の校舎の窓から亮太センパイが手を振ってきた。
その亮太センパイに手を振り返す私の姿を見てと両隣にいた友達が叫び出す。
「えーーーー!
ちょっと、由宇!!
あの氷野亮太センパイ、由宇の彼氏なの?!」
「え?!そーなの?!
付き合っていたなら教えてよ〜」
私の友達である沙凪(さなぎ)とルカが、叫びながらそう言ったかと思いきや、ニヤニヤして私の方を見る。
私は思わず動揺して、教科書を落とした。
...とりあえず、恥ずかしいから話題変えよう。
「ねっ。移動教室だし、急ごっ。」
そう言ってこの場ではなんとか誤魔化した。
...だけれど、また沙凪とルカに問い詰められるだろうなぁ。
んー。
これは、“ 付き合っている”ことになるのだろうか。
“ 付き合っている”
って言って良いのだろうか。
だって、センパイは私のことを“未宙 ”として見ている。
...気にしないって決めたのになぁ。
「なに、ぼーっとしてるんですか田本さん!」
授業中、先生にそう言われてハッとする。
仕方ないじゃん...。
授業なんかに集中できないよ...。
友達に言うべきなのか。
そもそも沙凪とルカは、未宙の彼氏を知っているのかな...。
この授業おわったら聞こうかな。


