...というか、この男子生徒...
まだ私を抱きしめるつもりなのだろうか。
なんかそろそろ恥ずかしくなってきたなぁ。
「3年2組、氷野 亮太(ひの りょうた)。
至急、職員室まで来てください。」
この校内放送で、やっと男子生徒が私の身体から手を離す。
...離されたはずなのにまだドキドキする。
「ごめんな、未宙。
待ってて、ね?久しぶりに一緒に帰ろ?」
そう言って、廊下を走っていく男子生徒。
────男子生徒の名前...、氷野 亮太っていうんだなぁ。
しかも3年生ってことは、私達より1つ年上だ。
じゃあ、センパイじゃん。
はぁ...。
これからどうやって、氷野センパイと接していけばいいんだろう。
やっぱりちゃんと、私は“ 未宙”ではありませんって言うべきなのだろうか。
私と未宙は双子で、私が未宙の双子の妹ですって正直に言うべきなのかな...。
うーん...。
でも、人を傷つけたりすることはなるべくしたくない。
────とりあえず、未宙になりきろうかな。なりきって氷野センパイと、うまく接していこうかな。
私だって、彼氏がいた経験はあるからセンパイの彼女になりきる事くらい出来るはず。