センパイ、私は由宇です…。





結局、最後の最後まで...

自分の名前を亮太センパイから呼ばれなかった。




1度でいいから...

“由宇 ”って呼ばれたかったな...。




廊下を歩く亮太センパイの後ろ姿が見えなくなった途端、涙が溢れた。




やっぱり悲しかった。



亮太センパイが、前向きになってくれたのは嬉しかったけれど...。



私、亮太センパイに振られたんだ...。




“ 未宙”として、亮太センパイの隣にいれて、

とても楽しい日々を過ごせた。



亮太センパイが、私に恋愛の楽しさを教えてくれた。




泣いてばかりじゃダメだ。



私も、

亮太センパイみたいに前に進まなきゃ...。



とは言ってもやっぱりすぐには、立ち直れそうにない。




でも、亮太センパイは最後まで良い人だった。



未宙、
亮太センパイと出会わせてくれてありがとう。


夕日を見つめながら、
心のなかで未宙に感謝の気持ちを伝えた。




11月で、
空気は冷たいはずなのに温かい風が廊下から吹いてきた。



前向きに。


前向きに。


亮太センパイとの出会いは決して無駄じゃなかったんだから。






私は涙を拭い、廊下を走った。




よし。

亮太センパイよりも良き男を見つけるんだ────。







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