「本当に...ごめん。
今まで“未宙の代わり ”にしてしまって。
俺の隣にいてくれて...ありがとう。」
優しく微笑む亮太センパイ。
...嫌だ...。
このまま、亮太センパイの隣にいれないなんて
きっと後悔する。
私が“ 未宙”と呼ばれていた時みたいに、
私は亮太センパイに横から抱きついた。
「亮太センパイ...!!
私じゃ...だめなんですか...?
...私、亮太センパイのことが...」
「...本当に今までありがとう。
俺、最低だから。
散々、君を振り回しておいて振ってしまう人間なんだ...」
亮太センパイは、
最低じゃない。
ああ、振られちゃうことくらい分かっていたはずなのに。
...苦しい。
ここで、泣いちゃダメ。
亮太センパイに“笑顔 ”でサヨナラするんだ。
「...やっぱり、未宙にも申し訳ないから。
ずっと俺は未宙のことを愛し続けたいんだ...。」
...未宙は、それで良いのだろうか。
未宙は、天国で亮太センパイがずっと前に進めないのを望んでいるわけがない。
「私の双子の姉である、未宙はそんなこと望んでないと思います。」
「...?」
「未宙は、亮太センパイに前に進んでほしいって思ってるのではないでしょうか。」
我ながら...、
カッコイイことを言った気がする。
「俺から振られたのに...
君って本当に優しいな。」
「ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとう。
...じゃあ。」
亮太センパイは、どことなくスッキリした表情でどこかへ行ってしまった。


