センパイ、私は由宇です…。





亮太センパイと会える、待ちに待った昼休みがきた。






今日は、亮太センパイと裏庭で私が作ったお弁当を一緒に食べることになっている。




私は、ウキウキしながら裏庭へ向かう。



靴箱で、革靴に履き替え外に出る。



もうすぐ亮太センパイの顔が見れる!!



お弁当...美味しいって、言ってもらえるかな。




亮太センパイが大好きな“ 卵焼き”喜んでくれるかな。




木の影から亮太センパイの後姿を見つけた。


亮太センパイ...先に来てたんだ!!



...ん?


よく見ると、亮太センパイの隣に誰かいる。



亮太センパイの友達かな...?



...違う。



太陽の日差しでよく見えなかったけれど、

雲で太陽が隠れた時にハッキリ見えた。



...あれは、
私が1年生の時に同じクラスだった黒木さん...?




...なんで黒木さんがセンパイと一緒にいるの?



どんな話...してるんだろう。



私は、気づかれないように大きな木に隠れて、話を聞くことにした。




「...亮太センパイのこと好きなんです!!」



────?!



え?!


これって告白?!



衝撃のあまり声が出そうになった。





「ねえ、君さ。
さっき2年生って言ってたよね?
君の同級生と俺、付き合ってるんだけど。」




「知ってますよ。
私...センパイが未宙ちゃんと付き合ってたの知ってました。」




えっ...。


待って...、これってやばい状況だよね。


お願い黒木さん、それ以上言わないで...!!



「君、何言ってるの?
付き合ってたの知ってましたって、過去形?
俺...今も未宙と付き合ってるよ?」




「センパイ。
センパイが未宙ちゃんって思っている人...」



...だめ。
言わないで、黒木さん...お願い言わないで。



「...未宙ちゃんじゃないですよ?」



言われてしまった...。


覚悟が決まった時に自分の口から、言うはずだったのに。



もっと亮太センパイの隣に居たかったのに。


あの笑顔を傍で見ていたかったのに。



亮太センパイの表情を見るのが怖くて、
木の影に隠れたままずっと下を向いて声だけを聞いていた。



なにも言わないセンパイ。




ただ、冷たい風の音がする。




「亮太センパイ...?」




「俺のこと好きって言ってくれてありがとな。
でも...ごめん。
俺は未宙のこと、本当に好きだから。」