色々、不安もあるけれどやっぱり亮太センパイの隣は落ち着く。
亮太センパイに“未宙 ”と呼ばれても良いやと思えるようになった。
今日も昨日のように、一緒に昼食をとったり、放課後に裏庭でキスをしたり...一緒に帰ったりした。
家に帰ると私は、お母さんがいる台所まで走った。
「未宙。
走ったら危ないわよ?どうしたの?」
「...ねえ、お母さん。
お母さん、今日の朝言ってたよね?
未宙が私には、彼氏のこと内緒にして欲しいって言ってたって。」
「...それはね、
由宇と未宙はよく、好きな人かぶってたじゃない?」
「...確かに。
中学校の時とか、同じ人を好きになってよく未宙とケンカしてたけれど...。」
「だからよ。
由宇と未宙の好きなタイプが一緒だから...」
「...え?
それって、私が亮太センパイを好きになるんじゃないかって思ってたの?」
「未宙は、それほど亮太くんのことが好きだったのよ...。」
お母さんが少し目に、涙を浮かべた。
私は、さみしい空気に耐えられなくなり、
自分の部屋にかけ込んだ。
それほど未宙が愛していた亮太センパイを...
私が好きになってしまっている。
でも、私は亮太センパイが“ 未宙”と呼んでいるから...未宙のかわりになっているだけ。
私は、未宙のかわり...。
────未宙のかわり...。
ずっと部屋の角でそう自分に言い聞かせた。
でも、自分は未宙のかわりなんだと思えば思うほど辛い。


