フクザツな気持ちのまま、
亮太センパイと一緒に帰った。
何もかも新鮮だった。
高校に入って、
異性と一緒に帰ったのは初めてだ。
しかも亮太センパイは、イケメン。
今日は亮太センパイが、顔だけじゃなくて性格も良いことが分かった。
帰り道も、さり気なく亮太センパイは車道側を歩いてくれた。
寒そうにしていた私に、
自動販売機で温かいはちみつレモンの飲み物を買ってくれた。
「未宙...はちみつレモン好きだろ」
って。
自分の事じゃなくても、亮太センパイは彼女の好みをちゃんと理解していて、本当に未宙にとっていい彼氏だったんだなと思った。
これらの行動は、
当たり前のことかもしれない。
────でも、
私がこんなに男性に女性扱いされたのは、初めてだだったんだ...。
私は、夕食中も亮太センパイのことばかり考えていた。
お母さんに
「由宇...ゆうーー」
と言われて、ハッとした。
はぁ...。
さっきから私、本当にセンパイのことばかり考えているなぁ。
今日は、私が大好きなハンバーグだったのに...お母さんごめん。
心配そうに、お母さんが私を見つめる。
「由宇...大丈夫?」
「...大丈夫。心配しないで。」
「由宇にも何かあったら...お母さん...っ」
目の前で泣きそうになるお母さん。
...心配かけるつもりじゃなかったのに。
お母さん...間際らしいような行動して、ごめんね。
部屋に戻った私は、
今日1日の出来事をベッドに寝そべりながら振り返った。


