私は就職が決まった。

後は試験の結果。

私は袴を来て卒業式へ…。

両親には本当に感謝している。

仲良くしてくれた友達にも…。

大翔にも…。

卒業式の後は祝賀会。

今までお世話になった実習先の先生へお礼をしに言った。

私はバッチリメイクだったから「お前、派手だな」って言われて終わった。

貴重な経験をありがとうございます。



明日にはこの街をでる。

最後に仲良くしてくれた友達と朝までカラオケ。

全てから解放された私達は多分、いや…壊れてた。

みんなで撮ったプリクラもグダグダ。

別れるときもグダグダ…。

国家試験終わってからはほとんどグダグダだったけど。


朝刊新聞に載る合格者。

私の学校は見事‼全員合格‼

家族3人で喜んだ。抱き合って。

職場にも合格した事を報告した。

最後に大翔…。

仕事だからメールで「合格したよ」と送った。

少ない荷物。

来たときより少し増えたくらい。

使わない物はあらかじめ大翔の家に運んでたから、最後はキャリーケース一つ。

さようなら…2年間お世話になりました。

私の部屋。

管理人さんに鍵を返して向かった先は、大翔の家。

今日から私の家。

家賃と生活費は半分って二人で決めた。

自分の荷物が片付いたところで両親は帰った。

父から渡された茶色い封筒。

「何?」

「見ればわかるから」

「わかった…」

「たまには家に遊びに来て」と母。

返事をして二人を見送った。


部屋に一人になった私は封筒の中を見てみる。

「婚姻届」

大翔の書くところ、お互いの両親が書くところ…埋っていた。

空欄は私のことろだけ。


いつの間に…。


実は私は卒業前に大翔の家に行った。

一人で…。

余計なお世話かもしれないけど、大翔とお父さんに歩み寄ってもらいたかった。

だからお父さんと大翔の話をしに…。

お父さんも年頃になって接し方がわからず今にいたると話していた。

お互い同じ気持ちなのに…。

大翔だっていずれは父になる。

だからお父さんと歩み寄って欲しい。

大翔は愛されてるよ。

間違いなく…。

「本当の息子だと俺は思ってる…大翔は認めないだろう」

そういうお父さんの顔は寂しそうだった。

だからお願いして大翔に手紙を書いてもらった。

それが私からのサプライズ。


私は今日その手紙を渡す。

「あかね…片付いた?」

「荷物少ないから余裕で終わったよ」

私は「婚姻届」を渡した。

自分の名前とはんこを押して…。

大翔は日にち決めて出そうと…私の仕事落ち着いたら。


大翔に「はい」

「何これ?」

「読んで」と私。

眉間にシワがよる大翔…。

読んだ後、「余計な事すんなよ」って言われた。

だけどその顔は少し嬉しそうだった。


「あかねも見る?」

「いいの?」

「はい…風呂いくわ」

大翔のテレ隠し。

手紙の内容は…


神木 大翔 へ


大翔に手紙を初めて書きます。

お前にとって俺は突然現れたおじさん。

だけどお母さんと出会って恋をしました。

小さなお前を連れてきた時は戸惑ったのも事実。

だけど、かわいいと思ったのも事実だ。

歳を重ねる事に会話が減ってしまったけど、俺はお前を本

当の息子だし、自慢の息子です。

気持ち悪いけど愛しています。


神木 英二


素敵な手紙。

どんな事にもきっかけが大事。

大翔にも幸せになってほしい。

お父さんといつか…わかり会える日が来ますように…。


これが私からのサプライズ。


大翔は手紙の話しはしない…。

相変わらずお父さんの話も。

だけど、少し変わったよ…。

二人の関係。

急には変われないから、ゆっくりでいい。

お母さんの顔も嬉しそう…。


その姿を見て一歩踏み出して良かったと思った。

たとえ…自己満だったとしても。