芹沢 悠李

俺は普通の家庭で育ったし、これといった話しはない…。

ただ…川瀬 りこ コイツに会うまで。


中学の頃、ずっと付き合っていた彼女がいた。

幼馴染み。

ありきたりだけど、泣き虫で、やんちゃで、わがままなヤツ。

何されても憎めない…かわいいヤツ。

ずっと好きで告白して付き合った。

付き合う前から一緒にいるのが当たり前だった俺達。

となりには必ず居た。


だから、俺は何も言わなくてもわかってくれてると思ってたし、甘えすぎていたのかもしれない…。

小さな変化に気付けなかった。


「寂しかった」そう言われて、別の人のところに行ってしまった。

いつも隣にいたのに…。

居なくなってしまった代償はでかい。


あえて別の学校を選んだのも俺…。

アイツが彼氏といるとこなんて見てられない。


そんな時…川瀬 りこに会った。

積極的すぎて、最初は引いた。

見た目はカワイイ。何も俺じゃなくてもいい。

素直で、無邪気で、気が強い…。

最終的にはそんなりこに俺は負けた。

俺は不器用だから…「好き」とか恋人らしい事も言えないし、自分でわかっている「自己中」。

文句いいながらも許してくれる…そんなりこに惹かれていった。


不思議とりこといるとほっとする。

この感覚は初めてだ。


一見、一人でも生きていけそう…だけど本心は甘えん坊で寂しがり屋。

りこは寂しいとか言わない。


「好き」とか…。

だから答えを求められる。言えません。

恥ずかしいし…。

だから俺はキスで返す。

りこはテレながら「許す」と…。

コイツには嘘つけない。

何でもバレそうだし、嘘は好きじゃない。

りこはまだ俺が元カノを引きずっていると思っているかも知れないけど、今はりこだけ…だよ。

いつ言える?

元カノとの話しは聞いてこない。

りこなりの強がり。

だから俺はりこの誕生日にメールした。


りこへ…

誕生日おめでとう。

俺が好きなのはりこだけだから。


精一杯のメール。

返事は…内緒。

俺とりこの秘密。

りこをよく友達に合わせた。

それは不安にさせないための不器用な俺なりの行動。


俺は、大翔に会わせるのは不安だった。

大翔は俺から見てイケメン。

肝がすわった性格、ルックス…パーフェクト。

ただ大翔も色々ある。

俺は大翔が本当に信用できる友達。

俺が付き合いたいほど好み。

変な意味じゃなく…。


だけど、りこに会わせた。

意外にもあかねに会わせたいらしい…。

あかねは今キツそうだ。

俺にとってあかねは全く読めない子。

冷めてるような…諦めてるような…。

よくわかんない子。

見た目は「純粋そう…」

全てのイメージはふわっとした感じ…だけど冷めてるような…。