…あいつ…
放課後帰ろうとする私に話しかけてきた。
…あいつ…
困った顔で。
「朝の事…ごめん」
「大丈夫。こっちこそ感情的になってごめんなさい」
丸くおさめよう。
引き伸ばさないように…。
この話しはおしまい。
「俺の名前…成瀬 北斗だから‼よろしく…」
「北斗…」
「うん」
「じゃ…また明日」
また明日?
この時、運命を感じたのは私だけ?
私は北斗七星という星座が大好きだった。
春の星座で、一番目立っていて…たくましく見える。
色々な神話があって、有名な画家がその星座を描いたとかで…私には縁のない物語が詰まっているから。
「また明日」
耳から離れない。
何の約束?
見えない明日がとてもこわい。
何…このざわざわする感じ…。
もう一人の私が「もう忘れたら?」
と言う。
わかってるよ…。
だけど人はそんな簡単に気持ちをきりかえたりはできないものだね。
新しい場所、私を知っている人がいない場所でも結局どこにいたって私は私なんだと思い知らされた。
この春、私はバイトを始めた。
コンビニ店員。
勉強に専念とかえらそうに言ったけど、自由になるお金が欲しかった。
ただそれだけ…。
お小遣い制じゃない私の家はいちいち使い道を言わなければならないから面倒だった。
服一つにしてもこっちの方が安いとか、靴もこっちにしなさいとか、一人で自由に買い物がしたい。
それだけの事。
私には大きな事。
週4日、土日は確実にバイト。
でもいいの。
予定なんてないし、何かしてた方が余計な事考えなくて済むから。
そう思って始めた。
今日学校に行けば明日は休み。
それだけで足取りが軽い。
いつもの道。
桜の花びらが風に舞う…いつまで見られるだろう。
「あかね…おはよう」
名前呼ばれた?
しかも呼び捨て。
あかねなんて親かりこにしか呼ばれない。
「聞いてる?」
「おは…よう」
北斗は一人で何かはなしてる。
全く耳に入って来ない。
「迷惑?」
気付けば首を横に振っていた。
言えないよ…名前呼ばれただけなのに心臓が張り裂けそうで苦しいなんて。
バカみたいで…。
早く学校に着きたい‼
苦しい‼
自然に足早になって…教室前。
視線が痛い。
大丈夫です。付き合っていません。
と言えない私は早足で席に着いた。
すかさずりこが来る。
「どういう関係?」
「たまたま会っただけ」
「ふーん」
その日の昼休みりこに呼び出された。
「どこまで踏み込んでいいの?」
……えっ……
言葉が見つからない。
「何であかねに話しかけようと思ったかわかる?」
都合いいとか?
地味で一人で可哀想とか?
「私ね、あかねの雰囲気好きだよ」
………ツー………
あれ?私…泣いてる?どうしよう?涙が止まらない。
「ごめん…私」
りこは私の言葉を切るように話しを続けた。
「あかねにはあかねのペースもあるし、しつこくして嫌われるの嫌だったから近づけなかった」
りこ…私ね自分さえよければいいと思ってた。
こんなに私の事考えてくれていたなんて…
気付かなかったよ。
素直に嬉しかった。
でもね、まだ全てを話す事はできない。
まだ乗り越えてないから…。
振り切るしかないのにね。
自分さえコントロールできないなんて終ってるよね?
「でもやめた‼あかねのペースに合わせるの」
私は首をかしげた…意味がわからない…
「しつこいねって言われるくらい一緒にいるね」
私は泣いたぐちゃぐちゃの顔で吹き出してしまった。
りこ…ありがとう。
もう少し時間をください。
ねぇ…りこ…
もし私が強さを持っていたら今が変わっていたのかな?
私は伸びきった髪を切った。
胸の下たまであった髪は肩まで、アゴまであった前髪はまゆ毛まで切った。
頭かるっ‼
初めてのボブヘア。
こんなに短い髪は人生初。
気持ちを切り替えたかった。
学校生活楽しみたい‼
一度きりなんだし‼
もう後悔なんてしたくないから。
家に帰ると、母は短い髪に驚いていた。
忘れた頃に「いいじゃない」
遅いよ…
明日と明後日は朝8時からバイト。
学校より早いんですけど。
早く寝よう…。
そうやってあっという間に2日間の休みが終わっていく…
バイトの帰り道かわいいお店を見つけた。
中へ入るといい香り。
ボディークリームも色々な香りがあって見てるだけで楽しかった。
私が一目惚れした淡いピンクのリップグロス。
ピーチの甘い香り…。
ほしくて買ってしまった。
似合うかどうかは…考えない‼
この日の夜もプラネタリウムを見た。
これはクリスマスにもらったもの。
初めておねだりしたもの。
大好きな曲を聞きながら…。
天井に映し出された星。
だけど…気付けば北斗七星ばかり見てる。
北斗の事ばっかり考えてる。
さっき買ったグロスも北斗に少しでもかわいいと思われたいから。
変わっていく姿を見てほしいから。
話したのはたった2回…。
何でこんなに気になるの?
好き…まさかね‼
自問自答を繰り返す。
放課後帰ろうとする私に話しかけてきた。
…あいつ…
困った顔で。
「朝の事…ごめん」
「大丈夫。こっちこそ感情的になってごめんなさい」
丸くおさめよう。
引き伸ばさないように…。
この話しはおしまい。
「俺の名前…成瀬 北斗だから‼よろしく…」
「北斗…」
「うん」
「じゃ…また明日」
また明日?
この時、運命を感じたのは私だけ?
私は北斗七星という星座が大好きだった。
春の星座で、一番目立っていて…たくましく見える。
色々な神話があって、有名な画家がその星座を描いたとかで…私には縁のない物語が詰まっているから。
「また明日」
耳から離れない。
何の約束?
見えない明日がとてもこわい。
何…このざわざわする感じ…。
もう一人の私が「もう忘れたら?」
と言う。
わかってるよ…。
だけど人はそんな簡単に気持ちをきりかえたりはできないものだね。
新しい場所、私を知っている人がいない場所でも結局どこにいたって私は私なんだと思い知らされた。
この春、私はバイトを始めた。
コンビニ店員。
勉強に専念とかえらそうに言ったけど、自由になるお金が欲しかった。
ただそれだけ…。
お小遣い制じゃない私の家はいちいち使い道を言わなければならないから面倒だった。
服一つにしてもこっちの方が安いとか、靴もこっちにしなさいとか、一人で自由に買い物がしたい。
それだけの事。
私には大きな事。
週4日、土日は確実にバイト。
でもいいの。
予定なんてないし、何かしてた方が余計な事考えなくて済むから。
そう思って始めた。
今日学校に行けば明日は休み。
それだけで足取りが軽い。
いつもの道。
桜の花びらが風に舞う…いつまで見られるだろう。
「あかね…おはよう」
名前呼ばれた?
しかも呼び捨て。
あかねなんて親かりこにしか呼ばれない。
「聞いてる?」
「おは…よう」
北斗は一人で何かはなしてる。
全く耳に入って来ない。
「迷惑?」
気付けば首を横に振っていた。
言えないよ…名前呼ばれただけなのに心臓が張り裂けそうで苦しいなんて。
バカみたいで…。
早く学校に着きたい‼
苦しい‼
自然に足早になって…教室前。
視線が痛い。
大丈夫です。付き合っていません。
と言えない私は早足で席に着いた。
すかさずりこが来る。
「どういう関係?」
「たまたま会っただけ」
「ふーん」
その日の昼休みりこに呼び出された。
「どこまで踏み込んでいいの?」
……えっ……
言葉が見つからない。
「何であかねに話しかけようと思ったかわかる?」
都合いいとか?
地味で一人で可哀想とか?
「私ね、あかねの雰囲気好きだよ」
………ツー………
あれ?私…泣いてる?どうしよう?涙が止まらない。
「ごめん…私」
りこは私の言葉を切るように話しを続けた。
「あかねにはあかねのペースもあるし、しつこくして嫌われるの嫌だったから近づけなかった」
りこ…私ね自分さえよければいいと思ってた。
こんなに私の事考えてくれていたなんて…
気付かなかったよ。
素直に嬉しかった。
でもね、まだ全てを話す事はできない。
まだ乗り越えてないから…。
振り切るしかないのにね。
自分さえコントロールできないなんて終ってるよね?
「でもやめた‼あかねのペースに合わせるの」
私は首をかしげた…意味がわからない…
「しつこいねって言われるくらい一緒にいるね」
私は泣いたぐちゃぐちゃの顔で吹き出してしまった。
りこ…ありがとう。
もう少し時間をください。
ねぇ…りこ…
もし私が強さを持っていたら今が変わっていたのかな?
私は伸びきった髪を切った。
胸の下たまであった髪は肩まで、アゴまであった前髪はまゆ毛まで切った。
頭かるっ‼
初めてのボブヘア。
こんなに短い髪は人生初。
気持ちを切り替えたかった。
学校生活楽しみたい‼
一度きりなんだし‼
もう後悔なんてしたくないから。
家に帰ると、母は短い髪に驚いていた。
忘れた頃に「いいじゃない」
遅いよ…
明日と明後日は朝8時からバイト。
学校より早いんですけど。
早く寝よう…。
そうやってあっという間に2日間の休みが終わっていく…
バイトの帰り道かわいいお店を見つけた。
中へ入るといい香り。
ボディークリームも色々な香りがあって見てるだけで楽しかった。
私が一目惚れした淡いピンクのリップグロス。
ピーチの甘い香り…。
ほしくて買ってしまった。
似合うかどうかは…考えない‼
この日の夜もプラネタリウムを見た。
これはクリスマスにもらったもの。
初めておねだりしたもの。
大好きな曲を聞きながら…。
天井に映し出された星。
だけど…気付けば北斗七星ばかり見てる。
北斗の事ばっかり考えてる。
さっき買ったグロスも北斗に少しでもかわいいと思われたいから。
変わっていく姿を見てほしいから。
話したのはたった2回…。
何でこんなに気になるの?
好き…まさかね‼
自問自答を繰り返す。

