「綾、乃…」
「もう…ヒロくんの寝ぼすけ…っ!!ぐすっ…」
そのセリフは俺がいつも朝遅刻しそうになってる綾乃に掛ける言葉。
「お前、第一声が、それかよ…。」
まぁ、お前らしいっちゃお前らしいな。
俺はそっと綾乃の頬へと手を伸ばし、頬を伝う涙を親指で優しく拭った。
「だって、二週間も寝てたんだからね…!」
俺はそんなに眠っていたのか。
俺が過ごした時間は一瞬だったけど。
「綾、乃…」
俺は綾乃に想いを伝えなきゃいけない。
いや、伝えたいんだ。
この俺の気持ちを…。
そのためにおじさんに背中を押してもらって、この世界に帰ってきたのだから。