あぁ…、あたしは死ぬんだ。
ヒロくんに好きって伝えないままパパのところに行くんだね。

ママを一人、残していくのは心配だな。


宙に舞っていたのはほんの一瞬ですぐに地面に叩きつけられた。


周りがザワザワしている…。
「救急車と警察を呼べっ!」なんて声も聞こえてくる。


なんでだろう…不思議と体が痛くない。

どうして…?
あたしは事故にあって車に引かれたのに。


「綾乃…大丈夫、か?」


すぐ横から愛しい人の声が聞こえてきてそちらをみると、そこには血をいっぱい流した傷だらけのヒロくんが力なく横たわっていた。

あの時の温かい何かって…ヒロくんがあたしを抱きしめたときだったの…?