「俺がこの前アイツに貸してたから」 ぶっきらぼうに彼は言うとまた歩き出してしまう。 貸してた? あんなに険悪そうだったのに? あたしはヒロくんが行ってしまうのが嫌で、止めたくてて気づいたら我を忘れて走り出していた。 ――ギュッ ヒロくんの体操服の裾をギュッと掴むとコツンとおでこを大きな背中にあてた。 “ヒロくん…好きだよ、大好き” 言葉に出来ない想いが涙になってポロポロと溢れ出てくる。 やがて、廊下に雨のように涙の雫がポツンと落ちる。