【完】不器用な彼はマイヒーロー




身体中からたくさんの汗が出てくる。

動こうとしても力が入らない。

ヤバイ…。
ここはあんまり人が通らないところだから見つかるまでには時間がかかる。


「…ヒロくん」



―――『お前が俺の名前を

呼んだらいつでも駆けつけてやる』


その言葉を思い出して、来てくれるはずもないのに名前を呼んでみたり。

思えば、ヒロくんは本当に名前を呼んだらいつでも駆けつけてくれた。

変な男の人たちに絡まれた時だって…

海で溺れかけた時だって…


あぁ、あたし今やっとわかったよ。

ヒーローの代わりはいくらいたって、ヒロくんの代わりは一人もいないってことが。