「だから、綾乃。

あなたは後悔しないように自分の気持ちを素直に伝えるのよ。
人なんていつ何が起こるかなんて神様さえ分からないんだから。」


そのママの言葉が不思議なくらいあたしの心の中にスーッと入ってきて、あたしもつられて泣いてしまった。

頭にヒロくんの顔が浮かぶ。

あたしはヒロくんにちゃんと“好き”って伝えてない。

言いたい気持ちはある。
だけど、千秋ちゃんのことがあるからどうしても言えない。


「うん…」


だから、あたしは小さく返事することしかできなかった。

だけど、この時あたしは密かにヒロくんを想うことを決めた。