【綾乃side】
そして、長かった夏休みが明けて新学期が始まった。
学校はもうすぐ開催される“体育祭”のことで持ちきり。
だけど、あたしは一人、どんよりとした気分でいた。
だって、あの海に行った日以来、ヒロくんとは一切関わっていないから。
「はぁ~……」
自分の席に座り、机に頬杖をついて深いため息をついた。
「もう!綾乃!なんでため息なんかついてんのよ!
もうすぐ体育祭だっていうのに!」
体育会系の千秋ちゃんはもちろんやる気満々。
その一方のあたしはといいますと…運動ができない文化系だから全くやる気もでてこない。