【綾乃side】
次の日の朝、いつも通り学校へと向かう。
もちろん、隣にはマスクはしているけど風邪から復活したヒロくんがいる。
だけど、いつもだと当たり前だったことも千秋ちゃんの気持ちを知ってしまっている以上、こんなことはきっとイケナイ事なんだと思う。
「ヒロくん、風邪良くなってよかったね!」
だけど、ヒロくんには千秋ちゃんのことなんて絶対に言えないし、平然を装うしかできない。
「お前のおかげ」
「あたしはなんにもしてないよ?」
「いや…まあ、いいや。とにかくありがとな」
あたしは…どうしたいんだろう。
千秋ちゃんとヒロくんがくっつけばいいと思ってるのに…たまらなく胸が苦しくなる。
昨日だってわざわざ心配して連絡をくれた千秋ちゃん。
そんな優しい彼女をあたしは傷つけようとしてる?