AA12をヒューから受け取り、バニングはハンヴィーに乗り込む。

「よし、出発だ」

運転席でハンヴィーのステアリングを握ろうとするバニング。

が。

「何処に向かえばいい?」

運転席に割り込んできたのは、ジェイソンだった。

「運転できるのか?」

「誰に物を言っている、俺は運び屋だぞ」

愛車のBMWとは、まるで勝手の違うハンヴィー。

しかしジェイソンは、長年乗り続けてきた車のように、ハンヴィーを走らせ始める。

「何処で運転を習った?」

後部座席から、ニコライが問い掛ける。

バラクラバの下から覗く蒼い瞳は、あくまでも冷静だ。

「ずっと気になっていたんだが、Disposableってのはあれか?目出し帽被ったテロリストも仲間に引き入れるのか?」

最も一括りにされたくない人種と同列にされてしまった。

ニコライの目が憤りに細まるのを。

「止せニコライ」

バニングが窘めた。