side Rio






学校に着いても頭の中ではレトくんでいっぱい
朝早く行って数学の問題集をやるつもりだったのに全く手がつかない

友達とどんな恋バナをしても
友達と人気の俳優を見ても
心がときめかないのは何でだろう

小学生のとき好きだった人は優しかった
中学生のとき好きだった人は運動神経抜群
高校生になった今は画面越しの1つ歳上の男の子






歳上に憧れを持つのは思春期の女の子だけではなく大人になってからも同じ、自分より世界を知っているとキラキラと輝いて見えるもんだ
とクラスの恋愛アドバイザー的な立ち位置にいるような親友が言っていた

私のレトくんに対する想いは『好き』なのか『憧れ』なのか考えれば考える程分からなくなるのが現実で難しい






高校生になるとボヤけていた将来の夢も明確になり嫌でも現実を知る
恋だってそう、あと数年したら結婚してもおかしくない歳になるしお母さん世代だと大学を卒業して子供を産む人だって少なくはない

現実に向き合えば向き合うほど嫌なところばかり見てしまって数学の問題集が終わらない憂鬱さよりも現実問題の方が嫌になってしまいひっきりなしにため息が出てくる






「どうしたの?ため息なんて着いちゃって」
「美沙……」






ふんわりと笑う女の子は私の親友、美沙
休み時間になると必ず私のそばまで来て
優しい笑顔で話し掛けてくれる

可愛くて女子力が高くて性格も良く
友達も沢山いて彼氏が絶えないほどのモテ女

なのにクラスの恋愛アドバイザー的な立ち位置で自分の幸せよりも他人の幸せを願えるような天女のような女の子

男女問わず憧れるような女の子が私の親友なんて思ってしまうけど、学校に行けば1日中美沙と一緒にいるし土日も殆ど美沙といるぐらい仲が良いのだから親友と言っても過言ではないと思っている





「で、そんなため息ばっかり吐いてどうしたの?なんか悩み事?美沙に話してみてよ、相談も愚痴も全部聞くよ?」

「本当美沙好き、大好き、天使
法律が許されるなら私、美沙と結婚したい」

「良いけど美沙と結婚したいなら月収100万近く稼いでね?美沙お金無いとか死んじゃう〜」





感動して出てきそうだった涙が引っ込む
天使のように笑う美沙の残念なところ
それは金の亡者でありお金が大好きなところ

とにかく美沙はお金が大好きで
愛よりお金と言えるぐらいお金が好き
お金が無いと生活出来ないから、が口癖だ

お金が好きなのに性格は悪くないと老若男女問わずに印象付られるのだからやっぱり美沙は凄い

だからこそ美沙の生き方はカッコイイと思えるし頼りになるし結局は好きだし信頼している





「えっと、まぁ相談なんだけどね」

「うん」

「好きな人ってどうやって作るんだっけ?」

「は?」








美沙の顔が怪訝になり眉間に皺がよる
私、美沙の可愛い顔から
そんな顔させるようなこと言った?