知らないあの人

「久しぶり、陽羽。」

笑顔で言う直人君。

「久しぶり、直人君。」

私、笑えてるかな、ちゃんと。


その後、連絡先を交換して、その頃の話をしながら作業をしていると、時間が過ぎるのはあっという間だった。


「はい、これあげる。」

一緒に帰ろうと誘われて、駅で電車を待っているときに直人君が何かくれた。

ココアだった。

「え、あ、ありがとう。」

「ちょっと季節外れだけど。」

照れくさそう笑う直人君。

似てるな、昔と。変わらないな。

自分のココアを開けながら私の隣に座る直人君。

そのとき私の手からココアが滑り落ちた。

「…よっ。」

そのココアを空中でキャッチした直人君。
昔から無駄にかっこいい所も昔と変わらない。

「すごい、ありがと!」

かっこいいな。

「どんくさい。陽羽は変わらないね、昔から。」

笑いながらココアを私のおでこにコンと当てる。