「直人君おめでとう!」

応援に行った私は試合が終わった直人君に声をかけた。

「ありがと。」

照れくさそうに言う直人君。

「俺、中学でも陸上続ける。もっともっと速くなる!」

「中学校、どこ行くの?」

聞いたことがない学校だった。

「直人君、受験するの?」

私はそのとき私立の中学校に受験するのかと思った。

「ううん。実は、俺、引っ越すんだ。」

「あ、そうなんだ。」

「だから、今日でこの陸上クラブも辞めるんだ。」

「うっそ。何で言ってくれなかったの~?」

「急だったんだよ。」

「ほんとに今日で終わりなの?」

私は泣きそうになる。

「うん。今日で最後。会えなくなる。」

「ん~~~……」

私はそのとき泣いてしまった。

「おい~、泣くなよ。」

直人君からずるっと言う音がした。

「…直人君も泣いてんじゃん。」