新しい高校の入学式。
駅を出て高校に向かって歩く。
私の名前は鈴木陽羽。今日から高校生になる。
あ、前の人同じ学校だ。
私の少し前を同じ制服に身を包んだ男の子が歩いていた。
同じ学年の子かな。
そんなことを思っていると、その男の子が何か落とした。本人は気づいてないみたい。
男の子が落としたものを拾うと、それは定期券だった。
これ、渡してあげないと可愛そうだよね。
意を決し前の男子生徒に話しかける。
「すみません、あのこれ落としましたよ。」
「あ、すいません。ありがとうございま……え。」
「……え?」
見覚えのある顔。
向こうもそうらしい。私の顔をじっと見ている。
「あ、ありがとうございます。」
男の子がはっとして話す。
「いいえ、大丈夫です。」