私たちが光さんの家に着くと、そこには正宗さんがもういた。


「着替えたら、あの突きあたりの部屋に来て」


ニコリともせず、相変わらず愛想のない正宗さん。

無表情で扉を指さす。



言われた通りに、着替えて私たちは突きあたりの部屋のドアをノックする。



返事がないので、そのまま扉を開ける。


かぼちゃの装飾やジャックオランタン がいたるところに施されている。


そして、本物のロウソクがところどころに置かれ、揺れる炎の陰が壁に揺れている。


「すごい、ロマンチック」


凛子がため息を漏らす。



「ようこそ」


ドラキュラのスーツを着た光さんと正宗さんが立っていた。


光さんは両手を広げて、私たちを包み込むとそれぞれの頬に軽くキスをする。


どうしてこの人は、照れることをスマートにやってのけるんだろう。


「文化祭の時のドレス?二人とも素敵だよ」


再び、頬にキスをする。


「光、腹減った」


「ロマンスを解さない無粋な男め」

光さんが正宗さんをにらむ。