葉山の発言に頭を捻っていると、來龍が降りてきた



「行くぞ。壱耶、先行ってろ。後から行く」

「はーい。了解」

「行ってきまーす」



お兄ちゃん爆笑してるし
もー、何なの〜



「駅のどこいらだ?」

「南口のカフェで待ってるって」



今日はよく喋るね。珍しい。

あ、あれ來龍のバイクかな?
キレーな、黒と黄色のラインが來龍に良くあっている



「これ、來龍の?カッコイイね。でも、この間のと違うよ?」

「あれは学校用。それ以外はこっち」



分けてるのか。私もそうしようかな?
でもなー、車庫いっぱいだしなー。最近あんまり乗ってないしー

いっか。



「落ちんなよ」

「そんなにヤワじゃないよ笑」



エンジン音とともにゆっくり動き出す

風が心地よく、体を通り抜ける

來龍のお腹に回した腕に、ぎゅっと力を込めた

來龍の香りが鼻をくすぐって、身体の中に深い安らぎが落ちてゆく




(來龍…いい匂い……)




背中に頬を寄せ、そのまま來龍に体を預けた







「碧羽、着いたぞ」

「ん。ありがとう、送ってくれて」



ん、と軽く答えられ、待ち合わせ場所に向かおうと背を向けた



「まった」


後ろから手が伸びてきて、見ていた掲示板との間に挟まれた


「ちょっ……」

「…………牽制……」


「え?……」


「気にすんな。……あー、あのさ、携帯の番号教えろ。明日の予定とか連絡するから。」

「あ、うんいいよ。LINEでもいい?」




そういえば、連絡先知らなかったなー

知り合って何ヶ月も経つのになー
変なの



「ん。じゃ、後で連絡するな。」

「っ///うん。また明日ね」




フワッと音がつきそうなほどの柔らかい笑みを見せ、そのまま、來龍は去っていった。


(あ、あの笑顔は反則でしょ〜////なに天然!?)



碧羽が、悩んでるとも知らずに笑