後ろで颯志が静かな怒りを顕にしていた



「消えろ。殺されたくなけりゃなぁ!」

「ヒィッ!っ……」

「に、逃げろ!」



「あ!あんた達!!待ちなさいよ!」



萌愛の声を無視して、這いつくばるように逃げていく男達の目の前には、貴良組の若頭がいた



「悪いな。俺の家族に手を出したんだ。償ってもらうぞ」




鬼の形相で見下ろしていて、男どもが蒼白になっていた




「っ……なんで…」

「萌愛…もういいだろ。これ以上、誰も苦しめるな」


「…っお兄ちゃんは黙っててよ!私は…私は、ただ!きり君がその女に騙されてるから、助けようと思って!」


「萌愛!いい加減にしろ!碧羽を苦しめるな!」

「っ…………なんで、どうしてよ!」