「お、始まったぞ」

「おぉ……綺麗……」


空に上がった花火は、彩りどりの形をしている

上がっては消え、上がっては消え
とても儚く美しい……

一瞬一瞬が、形を変えていく


ギュッと手を握られた
反射的に隣を見ると、來龍と目が合う

真っ直ぐ、目をそらすことなくじっと見つめられる
心の奥まで見透かされてそうだ



「碧羽、聞いてほしいことがある」

「……なに?……」

「お前に初めてあった日、俺はお前を見た瞬間からお前を姫にしようと決めていた」

「……」

「仲良くなって、姫になって、いい感じじゃね?っと思った時、お前が攫われた。体の奥底から怒りが湧いてきて、同時になんで守れなかったんだって後悔した」

「……」

「お前が震えて俺を目に移した時、あいつらを殺してやろうとも思った。でも、お前が名前を呼んでくれただけでそんな感情は消えたんだ」

「そっか……」

「うん。俺は……あー、なんかうまく言えねーけど、お前のことが気になって仕方が無い」

「え……」