龍と羽と天才【完】



來龍side


碧羽が意識を失った
多分疲れたんだと思う

腕の中で深く呼吸をして、穏やかに眠ってる


ドアを開けて碧羽を見つけた時、ただ、相手を殺したいと思った

碧羽が俺の名前を呼んでくれなきゃ、殺していたかもしれない

碧羽が俺を止めた
碧羽の声だけを聞き分けた



それほど、いつの間にか大切になっていた


「…碧羽……」



碧羽が攫われた

その事を聞いた時、どれほど自分に苛立ったことか


なぜ止めなかった、なぜ行かせた

守るんじゃなかったのかって……



行き場のない怒りと、自分への怒り

名前のつけられない感情が心を覆う



2度と傷付けさせない

恐怖に歪んだ顔はもう見たくない

笑ってる顔しか見たくない
俺の隣で無邪気に笑うあの笑顔で……


二度と曇らせない

今度こそ守るから


だから、また何度でも俺の名前を呼んでくれ


必ず助けるから



守るから




來龍side end