プルシアンブルー“俺が守る”

「爽築。」


「ん?なに?」



少し歩きかけて振り返れば、妙に真剣な顔つきの喝宥がいて。



「爽築、




ブォ――――ン………




だ。」



エンジンをふかして年代物の車が通った。



「なに?聞こえなかった。」



「だから、




プッ、ブッ、ブ――――!




、だ!」



クラクションを鳴らして大型トラックが通った。



「ごめん、聞こえないんだけど。」



「だ、か、ら!




パラリラパラリラ――……




き、だ!」



「久しぶりに聞いたわ、あんな昭和な暴走族の音。」



改造バイクが数台過ぎ去った。



「何回もごめん、聞こえない。」



タイミングが悪すぎるね、と苦笑しながら近付いた。



「だぁ~~~もう!邪魔すんなつーんだよっ!」


「…っ!か、つ、ひろ…」



タイミングが良すぎる車両達に悪態をついて、もう限界だと喝宥は爽築を抱き締める。



「俺は爽築が好きだ。もう一度、俺と付き合ってくれないか?」



解けぬを解かすは、熱き優しさを感じて流した涙。



「う、ん…、私も―――。」



今も昔も貴女だけを、“俺が守る”。