プルシアンブルー“俺が守る”

「俺もだ。異動になって事件事件で、ハルとの会話にも女子の話は出てこなかったからな。俺らはいつも怒られてばっかりだったし。」



出てこなかったのではなく、克治がおふざけの代名詞だった喝宥と注意ばかりの女子の話を、思い出すだけで頭が痛くなるのでしなかっただけである。



「そうそう。『俺はヒロだ。英雄、つまりはヒーローだ。』ってよく言っていたものね。」



話題の中心の喝宥と、注意すら出来ない教室の隅っこにいた爽築。



警察官になれるとか、同期になるとか、付き合うとか。


想像すらしなかった。



「ありがとうね。私がこうしていられるのは、喝宥のお陰だから。」


「いや俺、なにもしていないけど。」



「ううん。譲琉は間違ってしまったけど、喝宥達のお陰で罪を償わせることが出来る。私も譲琉と向き合えたから。」



だから辞表を出さずに、左遷という名の異動に応じたのだ。


逃げずに前へ進む為に。



「あ、もうこんな時間ね。ごめん時間取らせて。」



ふと時計を見れば三十分は優に経過していた。


一旦落ち着いているとはいえ、これ以上はよろしくないだろう。



爽築は帰ろうと腰を上げた。