プルシアンブルー“俺が守る”

「私の為って…どういうこと?」


「はいこれ。あいつに飲ませて。」



譲琉から渡された蓋の開いた小瓶には、無色透明な液体が入っている。



「なに、これ?」


「ヒ素だよ。ネットで買ったんだ。」



「ヒ素って…」



無邪気に言った譲琉のせいでもあるが、水みたいなものをヒ素とは信じられない。



「ほら早く飲ませて。あいつがいるから姉ちゃんがいつまで経っても俺と一緒にいてくれないんだ。あいつがいなくなれば、姉ちゃんは安心出来るし安全だよ。」



闇の様な犯罪の行いの中に輝かしい光が、させようとしている悪事とは裏腹な正義がハッキリと見える。


実現死に逝くは守るという名の善力の悪。



「ほら聞こえるでしょ?拍手の音。神様だって応援してくれているんだよ。」



打ち付け強くなる雨音が、譲琉には異論を呈さず称賛してくれているように聞こえるらしい。



「ほら!姉ちゃんの手で殺らないと意味がないんだよ。悪の糸を断ち切る為には、姉ちゃんが頑張らないといけないんだよ。」



何故、殺すことを頑張らなければならないのか。


爽築の為というのは譲らず、爽築の背に回り喝宥の目の前へと押しやる。