プルシアンブルー“俺が守る”

「近付いた……?守る…?姉ちゃん?一体なんの、誰のこと…、言っている?」



克治が辛うじて思い出したこと、直感的に動く喝宥が譲琉を覚えている訳がない。


しかも、喝宥にとって身に覚えのないことなら尚更だ。



「まぁだからこうやって、神様に俺の偉業を見て貰えるんだから、結果オーライかな。あの時は知らない内に終わっていたからさ。」



譲琉の中の重大な使命は、二十年ほど前に家の中の暴君を倒したことから始まっていた。



「譲琉っ…!!」



息を切らして教会へと飛び込んで来たのは爽築。


組対にいた時、もらったメールには那釜ロゼ教会で待っているよ。という文章と、気を失って倒れている喝宥の添付写真だった。



「さつ、き……なんで…」


「ヒロ……!譲琉、一体何をしているの!ヒロに何をしたの!?」



「何をって姉ちゃん為だよ。っていうか、姉ちゃんずぶ濡れだ、風邪引いちゃうよ。ほら、拭いてあげる。」



動揺する爽築に構わず譲琉はハンカチを取り出し、濡れた髪や服に染み込んだ水分を優しく拭き取っていく。



「はい、これで少しはマシになったよ。姉ちゃんは俺がいないとほんと駄目なんだから。」