プルシアンブルー“俺が守る”

「被害者って言えない人も含まれていないですか?私はそんな気がしてならないですけど。」


「自業自得…いわゆる被害者なき犯罪ってやつだな。」



自らの宿命に追われて、逃げるのは至極簡単だけれど


追い掛けるのは難しく、他の運命には逃げられてしまう



「ホシの考えは俺には分からないが、死んでいい人間などいないと言い聞かせとかなきゃこの商売、やってられんな。今日はとりあえずゆっくり休むとするよ。」



矛桶はそう言って、家族の元へと戻っていった。



「私も帰るわ。お疲れ様でした。」



報告疲れからか、左隈は長風呂にしようと決めながら矛桶に続いた。



「心はきっと最初は空っぽだから何でも入る。善も悪も、愛も憎しみも。それを選択出来るのが人間だと俺は思うんだがなぁ。」



止めることも戻すことも、もう出来やしないんだ



「なんだあいつ。格言みたいなの残してサラッと帰りやがって。戸締り報告俺じゃないか。」



回ってしまった歯車の逝く先は、何を何処で間違ったのだろうか?



「口より手。私も手伝ってあげるから、帰るよ。」



既にいない克治へ文句を言う喝宥を促し、爽築も帰路に着いた。