と何度、克治に苦言を呈されたことか。


無駄に元気なのも、全力なのも、中学の頃から変わらない。



「…そ。じゃ私はここで。」



「ちょっと待て!」


「…なに?」



これ以上いたら雰囲気に押されてしまいそうな気がして、帰ろうとしたのだが。



「理由、ちゃんと聞いていない。」


「…なんの?」



いきなり真顔で言うものだから思わず惚けてみても、思い当たる節はあって目を逸らす。



「なんのって…。別れてって言われただけで、納得なんて出来るわけないだろうが。」


「でも別れたじゃない。」



「それは…、俺も爽築も異動になって」


「別れたかったから別れた。それだけ。」



「っおい!爽築!」



爽築は振り切る様に歩みを早め、止めることは無かった。



「…………。はぁ……」



皿が洗われ、ピカピカになったシンクを見つめ溜め息をついた。


一人暮らしの家、でも落ち着かないのは誰のせいか?



「なんでいるのよ…」



二度と会わないと決めて別れたつもりだった。


合同捜査ぐらいならあり得るかもと覚悟していたが。



「なにがなんでも、」



装うは平常心。