勇気を出してランチに誘って「はい」と言ってくれたのはいいけど、そのまま後ろを振り返って、さっさと行ってしまったな。

連絡先もくれないし、どうやってランチに行くんだ?

今度、配達に来る時って、いつなんだ?

しまったな。強引にでも連絡先を聞いておくんだった。

何度か見かけているけど、大木さんは感じが良くて、本当に花が好きなのだなって思う。

ホテルに飾り付けてある花をいつも真剣に眺めているし。

まだ、ちゃんと話したことはないけど、一度、食事くらい行きたい。

勇気を持って話しかけたのに、このザマだし、情けないな、俺。

勤めている会社はわかっているんだから、今度、待ち伏せして話しかけてみよう。

「柴田さん!」と声がする。振り返ると

「宴会場のテーブルセットの確認お願いします!!」

「今、行きます」と小走りで声のする方へ向かった。