雪の日に祝福を…。

  


 いつになく真剣な青年の態度に緊張感が走る。


「なんだ、改まって。」


「少しの間灯りを消してもらえますか?」


「ああ、いいよ。」


 看板の灯りを落とす。


「それで、2人きりじゃないと話せないことってなんだ?」


「まずは、バイトを辞めさせて下さい。経済学課学科行くので来れなくなります。」


「解った。バイトは気にしなくていい、まぁお前目当ての女性客が居なくなるのは痛手だな。」


 軽く返す。


「もうひとつは、月依さんのことです。」


「なんだ、上手くいってないのか?」


「いいえ、恐ろしい程に上手くいってます。」


 答える声が上ずったかもしれない。


「じゃあ、改めてなんだ?」


「俺、家から逃げて来たって言いましたよね。」


「そうだったな。」


「凄く倖せでしたここに来てから・・・・・・。マスターに弟のように可愛がってもらえたし、月依さんにも出逢えたし。でも俺家に帰らないといけない。」


 寂しそうに話した。


「燵夜、親父さんが来てるのか?」


「はい。あの人が俺を取り戻す為に動いて来ました。」