「お誕生日おめでとう、お姉ちゃん!」
妹の憎らしい声と耳障りなクッラカーが耳に届いた。
「お母さん。ケーキ。」
「はいはい。瑠々がお姉ちゃんにって選んだのよ。」
「ケーキ・・・・・・。」
「どうしたの?」
大きなホールのケーキで顔色を変えた姉に問う。
「甘い物・・・・・・苦手。」
場の空気が冷める。
「ごめんね。知らなかった。」
「だろうね。
(誕生日なんて瑠々のしかしないんだからおのずと甘い物嫌いになったわよ。)」
「どうしよう。お姉ちゃんに喜んでもらいたっかたのに。」
泣き出す妹をみんなが慰め両親のナイフのような視線が突き刺さる。
「瑠々。食べるよ。」
「本当?」
「うん。少しなら大丈夫だし瑠々が選んでくれたんだもんお姉ちゃん嬉しいよ。」
「良かった。食べよ!」
満面の笑みでケーキを頬張る妹をみんなで微笑ましく囲む。
面会時間終了の30分前に妹の自己満足の会が終わりいち早く帰るべくエレベーターホールに向かう。
「月依!」
「何?」
「瑠々がお姉ちゃんにって用意したのに傷付けるなんて。」
