「月依さん・・・」
腕に力がこもる。
「燵夜くんが悪いんじゃないから。」
責任を感じてどう慰めていいか困り果てている青年に優しく告げる。
「どうしたらいいんだろう…ごめんね、俺女の人に泣かれたらどうするか解らなくて。」
「大丈夫、こっち見なければいいの。」
「解った。」
また素直に答える。
沈黙の中、青年の腕の中の心地がよくなる。
「(どうしよう・・・。もう要らないって思っていたのに。)」
温もりに癒やされいる自分に気が付いた。
「クリスマスイブに・・・・・・結婚するはずだったの。」
なぜか青年に語りたくなった。
「私の誕生日。祝ってもらった記憶のない私の誕生日。初めていい思い出になるはずだった。」
思い出すと情けなくて涙が零れる。青年は、黙って訊いていた。
「でも、結婚式を1週間後に控えた雪の日に婚約破棄された。1週間よ。全く馬鹿にしてるでしょう。
彼の言葉に耳を疑った。妹と浮気して子どもを孕ませたって・・・・・・信じられない。3年も付き合って1週間後に本番だったのに・・・私の大嫌いな妹とだなんて・・・。」
