雪の日に祝福を…。

  


 くすりと笑って答える。


「叔父さん・・・・・・。」


「そうよ。本当にお世話になりっぱなしなんだけどね・・・・・・。」


「隠してるの?」


「そんな所よ。」


「なんで?」


「私もマスターも家族に棄てられて家族を棄てたから。」


「月依さん・・・・・・」


 寂しげな表情に後ろから抱き締めてしまった。


「ちょっと、なあに?」


「寂しそうだったから・・・。」


 耳元に落ちる低く甘い声にゾクッとする。


「大丈夫。慣れてるし・・・・・・。」


「本当に?妹さんに逢いもしないのに?電話もメールも返事してないでしょ?」


「ふふ、よく見てるわね。」


「月依さんの家族を棄てた原因ってあの妹さん?」


 核心に触れられて身体が無意識に震える。


「ごめん、訊いちゃいけないことだったよね?」


 素直に謝る。
 そんな態度に心のガードが下がっていく。悔しさも辛さも誤魔化して足踏みをし続けてきた。泣き喚いたり縋ったりもしなかった。


「月依さん・・・・・・?」


 押し黙り俯いている彼女を覗き込む。


「月依さん!」


 瞳からは、初めて見る涙が零れていた。