「嫌だ、言ってよ。」
「ごめん、気を遣わせるかと思って・・・。」
「そりゃ気は遣うけど…行くところない子に私〝帰りなさい〟って言ってたってことでしょ?最悪・・・・・・。」
猛烈に自分の責任能力のなさに幻滅する。
「月依さんの所為じゃないかいから。自分で部屋くらい探せるし。」
方に手を置いて微笑む。
「ダメ。」
「え?」
「ここに居なさい。」
肩に置かれた手を掴み強く言った。
「でも・・・・・・」
「いいから。部屋狭くて悪いけど居ていいから。」
アルバイト苦学生をここまで頼ってきて用が済んだらさようならなんて出来ない。いや、部屋もないんだからしてはいけない。
「ありがとう。」
屈託のない笑顔に罪悪感しか込み上げない。
「マスターに報告しないとね。」
「待って。」
スマホをいじる手を取られた。
「マスターとは、どんな関係なの?」
「ああ、話してなかったね。あの人は、叔父さん。母方の叔父。」
思いもよらない答えに納得の前に驚きがあった。
「〝叔父さん〟って呼ばないの?」
「マスターなの。」
