「ほら、離して」
「煩い!!」
「つっ!!」
思いっきり右ストレートを食らってしまった。
「いったあい!」
「煩いんだよ!!」
パニックを起こして1人が叫び出すとようやく外の異変に気が付いたのか店員がドアに近づくのが見えて痛みを堪えながら電話をジェスチャーで伝えた。
「もう、女の顔になんてことするのよ。口、なか・・・切れた・・・・・・。」
右頬を押さえる。
「なんで言うこと訊かないんだ!」
「ば、かね。訊いた、ら・・・終わりじゃないの。」
悪態を付いて雪道に座り込む。
「もう、痛いし寒い!!この馬鹿!!」
アタフタする2人組にとことん罵声を浴びせた。
「月依さん・・・・・・?」
痛みに耐えて警察と救急車を待っていると訊き覚えのある声がして顔を上げた。
「殴られたの?」
「ああ、燵夜くん・・・・・・今日は、お店休みでしょう?」
「近くの居酒屋に友達から呼び出しがあって・・・って俺のことはいいです。血が出てる。」
「いいから、その、2人。見張って。」
言われて視線を移すとパニックを起こしている何とも冴えないオジサン2人が居た。
