何の気なしにサラリと声を掛けれる彼の行動力は、いまはとても悪いものだった。
「おーい、飯行こうぜ。」
「いや、俺はいい。」
「なんだよ、付き合い悪いな。」
同僚にめちゃくちゃ絡まれる。
「いや・・・・・・弁当があって・・・。」
「おうおう、いいね~。新婚さんは。俺たちは寂しく今日も定食食べに行くか。」
「「行こう!!」」
同僚たちはひどくやっかんで昼に出掛けて行った。
「俺屋上で食べてくるから。」
とりあえず2人きりなり気まずかったので声を掛けてみる。
「気にしなで此処で食べて。」
全くパソコン画面から一度も視線をずらさずに答える。
「いや、さすがに・・・・・・」
「しっかり味わって。」
「え?」
「居心地の悪さと気まずさを。」
「意地悪するなよ。」
「慣れないと。」
キーボードを触る手を止める。
「私たちがこの状況に慣れていかないとお互いに職場を変える気はないんだから。」
正論だった。そして自分に言い訊かせる言葉でもあった。
「そうだよな。俺のやったことは消えないんだ。」