《 《
「先輩。いいことありました?」
青年との思わぬ夜の食事から少しずつ仕事の手際が戻ってきたいた。
「なんで?」
「いや、休憩に飴を舐めてるからです。」
後輩のいつもの嫌味かとため息をつきそうになったが舌を動かすと甘い刺激が走る。
「気づいてませんでしたか?」
「ええ。」
答えてから机を見ると包み紙が置いてあった。
「お仕事頑張って下さい。」
去って行く後輩を見ながら自分の無意識さにため息をつく。
「(また、変な噂されたらどうしよう。)」
キーボードを打ちながら後ろ向きな考えをしているとメールが来た。
〝 今夜は、ワインバーになるみたいです。よかったらいらして下さい 〟
アルバイトくんからのお誘いメールだった。
「(最近あの子のペースじゃない?いいの、私。)」
自問自答していると机にコーヒーが置かれた。
「ただいま、若狭。」
「(あ・・・・・・)」
その声に反応して顔を上げる。
温もりのある笑顔に顔が綻ぶ。
「お帰りなさい、鈴村くん。」
呼び方も立ち位置さえも変わってしまったが未だに心をざわつかせる人。
