雪の日に祝福を…。

  


「疲れが溜まるとたまに食欲なくなるだけで他の体調不慮はないの。心配してくれたのね、ありがとう。」


 真剣な眼差しを無下にも出来ず仕方なく答えた。


「こんな時間まで仕事で帰って眠る時間あるんですか?」


「もちろん。お風呂にゆ~っくり浸かって眠るのよ。」


 あながち嘘でない情報を伝える。


「そうですか・・・・・・なら、いいんですけど。」


「周りに心配な人でも居たの?」


「いいえ。」


「(ああ、このネタは、振られたくない訳ね。)」


 質素な答え方で〝話したくない話題〟だと解った。


「2人とも本当に仲良しだねえ。ほら、味噌ラーメンとおにぎり出来たよ。」


 大将がどんぶりとお皿を置く。


「いただきまーす。」


 おにぎりの何かを言われる前に頬張った。


「お兄ちゃんも冷めないうちに。」


「はい。頂きます。」


 2人の静寂。


 》 》


 あの頃の私は、本当に食事と睡眠に時間を割かなかった。いやどちらとも摂らなくても平気だった。
 あの子に出逢って少し日常が変化を帯びるまで私の世界には、味や匂いや色が欠けていたのだろうと今なら解る。