「そうだったの?」
話しをしながら座る。
「親父の調子が悪くてね。」
「大変だったのね。お大事に。」
「ありがとう。お兄ちゃんは、新顔だね。」
「こんばんは。月依さんに連れてきてもらいました。」
「そうかい。今後ともご贔屓に。さてお兄ちゃんは、何にする?」
スープのいい匂いが食欲を刺激する。
「味噌ください。」
「やっぱり男の子ね。」
「そうですか?」
「ええ、この夜中に味噌が食べれるんだから。」
「若い子はこれくらいでいいんだよ、月依ちゃん。」
大将のフォローに頷いて見せる。
「そっか。そうよね。」
「月依ちゃんこそ毎回同じでいいのかい?」
「ええ。最近も食欲なくて。」
「解ったよ。」
それ以上詮索もしないで大将は、2人の注文を作り出す。
「食欲ないって大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。風邪とかじゃないから。」
それ以上詮索されないよう冷たく返したつもりでいた。
「いいえ。食べれないって身体だけじゃなくて精神にもきませんか?」
「大丈夫よ。」
意外と鋭い物言いに驚く。
