雪の日に祝福を…。

  


 そう思いながらもハッキリ答えた。


「俺は、大学2年の村雨(ムラサメ タツヤ)燵夜です。」


「宜しくね、燵夜くん。」


「はい。」


 やっと名前を訊けた満足で頬が緩んでいた。


「(名前・・・教えただけでこんなに喜ぶなんて・・・・・・。)」


 全く不思議な青年の空気感に和んだ。


「そうだ、燵夜くんお腹空かない?」


「突然ですね。」


「うん。お近づきの印にご飯でも食べようか。」


 自分に今欠けている輝きを放つ青年の傍にもう少し居たかった。


「どこ行くんですか?」


「屋台!」


「え・・・。」


「もしかして、初めて?」


「はい・・・・・・。」


「よし、じゃあ屋台に向けて出発!!」


 青年の腕を引いて粉雪舞う中歩き出す。


「ちょっと月依さん。自分で歩けますから。」


 腕を掴まれ照れていた。そんな青年の気持ちなど疎いので全く感知していなかった。


「だって、歩くんだからくっつかないと寒いでしょ。」


 よく見れば綺麗な容姿の割に服装は、防寒重視で色気も素っ気もない格好だった。


「寒がり、ですね。」


「おばさんだからね!」